これからのことをゆっくり話そうーPAJの新しい取締役に就任した森和成と小澤新也が鳥のさえずる豊かな森の中で語り合いました。

新・取締役!

ーーなぜ取締役に?

しんや:

ひとつはPAJはこのままでいいのかと思っていました。自分の力だけでできるとは考えていないけれど、いまのまま進んでいくのはちょっと怖さがありました。

PAJはいま、設立当初からやってきているアドベンチャー教育以外にも施設運営事業に手を広げています。その事業もPAJの柱としながら、アドベンチャー業界の中心となり、広く認知させていきたいと思ったのが一番の理由です。

森:

社会環境が変わっていく中で、仕事のやり方も、昭和~平成~令和と、大きく変わってきている。教育を手がけている会社が、自ら変化・成長しないわけにはいかないので、組織として大切にすべき「思い」=「目的」=「ミッション」は何なのか?をより研ぎ澄まし、社員ひとりひとりも、何のために今の「志事」をしているのか?をより明確にする必要性がある。

外部環境に適応できつつも、目指したい方向性に向けて成長できなければ、大切なことを見失ってしまい、忙しい状態に陥る。忙しいとは心を亡くして忙しいと書くからね。

林さん(代表)の思いを継承しつつ、いまの時代環境にあった組織のあり方をちゃんと考えていかないといけない。変えていくべきところと、変えざるところをちゃんと見極めていかないといけない。

しんや:

そうですね。これからのPAJには、これまでとは違う意見なども含めて、いろいろ取り入れていかないといけないのかなと思います。

取締役になったので、アドベンチャークリエーション(ADC)のチームリーダーをさとる(二宮悟)に引き継ぎましたが、まだまだADCの仕事の関わりが9.5割です。これから7割くらいにして、来年は6割以下にしていきたいですね。

ーー取締役になることに悩みましたか?

しんや:

悩んだけど…、途中から悩んでもしょうがないと思いました。結局自分の覚悟の問題だから。悩むのは取締役になるかならないかではなくて、なったあとに悩めばいいやと。

まだ取締役としての仕事はできていないけれど、周りのこと見なければと思うようになりました。取締役になってからまだみんなとしっかり話していないから、ちょっともったいない時間を過ごしてるなと思っています。

もっと周りのみんなと話をして、本当に何を目指していくべきかということをお互いに確認したい。

これまでの仕事ではADC以外の部門に携わってきていないから、他の部門に入っていくことで、客観的に見えていることなどの話ができるのではと思うので、どんどんみんなと話していきたいです。

ビジョンを大切にした関係づくり

森:

ステアリングコミッティで会社全体の目的であるミッションを再設定し直したけれど、変わった意識や動きなどはあるかな?

しんや:

変わった部分はあると思います。ステアリングでの議論を通して明確に会社の目的が言葉になっていき、必然的にその言葉を使うようになりました。意識するようになりましたね。放っておくと、ついつい忘れちゃうんですよね。

大事な核を忘れてしまうと、ものが売れればいいという感覚で話をしてしまいがち。ものを売るのも大事だけど、その中に込めるメッセージは何かというところを支える言葉が生まれたことで、資料にもしっかり載せられるし、説明もできます。

最近は提案資料に会社のビジョンである「Bring the Adventure Home!~私たちの日常に、自然に気づき学べる環境をつくります!~」を載せています。そうするとそこに共感してくれるクライアントが増えてきました。

ただ「アドベンチャー施設、ジップラインいいですよー」と売り込んでいたのとは全然違う感覚です。PAJとしての思いを明確にすることによって、その考え方に乗って一緒にやりたいって言ってくれている人をもっと増やしていきたいですね。

森:

そうすると良いパートナーがたくさん生まれていくんだよね。施工現場などでも、PAJらしさを明確に訴求していくことができなければ、単なる業者扱いされることになり、合い見積もりとられ、安く買いたたかれ、一時的な関係でしかなくなってしまう。逆に思いに共感してくれる会社とはいい関係ができて長く続く。

PANZAも入り口はエンターテインメントでもよいけれど、ミッションである「器の大きな人間社会の実現」をちゃんと念頭に置いたうえで、その先の奥行きを見せていくことができると、我々の思いに感化されて、その場にお越しいただいたお客様の学びの機会、成長の機会につながる。それこそが、PAJらしさであり、PAJ本来の魅力。

この半年位、ステアリングの中でずっと各部門のあり方についても言及してきたけれど、ADCが単に言われるがままの施工をしてしまっていたり、PANZAがただ単にルーティンワークとして運営してしまっていると、PAJらしさが出ず、他の施工会社や、エンタメ施設と同じくくりとなってしまい、One of themでしかなくなってしまうからね。

PAJのスピード感

しんや:

PAJは動きが遅いですよね。

森:

遅いね。

ーー今のPAJのスピード感はどれくらい?

森:

組織にはアクセルを思い切り踏む時もあれば、カーブ前でブレーキを踏むべき時もある。

今のPAJはアクセルを踏み続けないとやばい状況だという健全なる危機意識をもっとひとりひとりが持つべきだと思う。

悠長にいつまでも議論している場合じゃない。ミッション、ビジョン、バリューを踏まえ、その実現を大前提としながらも、収入を増やすために何ができるのか?をも、具体策を考え、どんどん動いていかないといけない。

今の時代だからこそ、チャンスにあふれた時代なので、各々が、狭い枠の中でしか考えるのではなく、自分の原点となる思いと向き合うと同時に、将来に思いを馳せ、言われたからやる仕事、やることが決まっているからやる仕事、時間をお金に変えるだけの仕事ではなく、自分の思いを元にした「志事」に臨むことがすごく大事。

体験機会を提供するにあたっても、体験できればなんでも良いのではなく、我々としても、明確にコンセプトを持った体験機会を提供する。例えば、自らの感度をしっかり高めていく体験、意思決定体験、対立・葛藤体験、ブレイクスルー体験などなど、意図を持った場づくりが大事。

ーーなぜPAJは動きが遅いのだと思いますか?

森:

最終的に決めて、腹くくってやる人が一部の人に限られちゃっているからなのかな。

真の意思決定とは、「できない!やらない!という選択肢を捨てきる!」ということ。

フラットな組織で好きにやっていいよと言われているのだから、真の意思決定をして、各々がどんどん動いていけばいい。でも忙しい状態に追われ、各々の思いを元にした行動に移せていないから日々の仕事がルーティンになってしまう。その状態で、自分らしく、活き活きと、人生を歩めるのかな? 一人ひとりがもっと深掘りして考えて、自分自身で真の意思決定を行う必要があるかもしれないね。

毎月給料が入るのが当然というスタンスで、給料もらえないならや~めたと逃げていっちゃうような、その程度の思いでやっている組織なのかな?

本来はそうではないのだと思うし、各々、原点となる「思い」があるはず。

「なぜPAJに入社したのか?」「なぜ、今、PAJで働いてるのか」という自分の思いと、もっと大切に向き合っていく姿勢が大切なんじゃないかな。そしてそこから「自分が自分らしくいられるってどういうことだろう?」「自分はどんな人生を歩んでいきたいのかな?」という大切な問いとしっかりと向き合う。

PAJに対する思いがあったり、共感しているから入ってきているはずなんだけど、その大切な思いを見失ってしまっていたり、目の前の課題にばかり目が行ってしまい、考えることをやめてしまっている人もいるんじゃないかな。

スピード感もそうだけど、感度を磨いていくことも大切だと思う。PAJはアドベンチャーラーニングを提供している会社なんだから、我々自らが実践できていなければ、社会に対して、その世界観は決して実現できない。先ずは、自分自身が・・・、時には、仲間と共に・・・、自らストレッチゾーンに、一歩を踏み出し、本能が揺さぶられる体験、そんなアドベンチャー体験を通じ、その振り返り(Reflection)から、内発的に学び・気づく(Learning)ことにより、成長していく。そんな感度をひとりひとりが持つ必要もあるよね。

ーーどうやったら感度は磨けますか?

森:

みんな五感を研ぎ澄ます大自然の中に行ってみたらいいんだよ!(笑)

しんや:

いま、みんな仕事に追われていて、余裕やゆとりが無い中で、感度も含めてどんどん自分でシャッターを閉じちゃっている部分があるんじゃないかな。そういうのを開放するためにのびのびとストレスから解放されるといいなと思いますね。

森:

感度も含めたプロフェッショナル意識と、あとは、目線というのかな。自分の目の前のことばかりではなくて、未来に思いを馳せてみたり、思いを語り合ってみたり、思いをひとつにしてみたり、これが大切。そのためにもスタッフ全員で森の中でキャンプしたいね。

(後編に続く)
(20210601)