インタビューvol. 018 「型にはめない自分を準備する」

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非常勤ファシリテーターになって6年のせいちゃん(市川雄一)。持ち前のキャラクターで子どもたちを魅了するせいちゃんですが、参加者との関わりに関する意外な一面を話してくれました。


PA(プロジェクトアドベンチャー)との出会い

大学生のときにキャンプをやっている中でPAに出会いました。僕の中でPAとキャンプは近いところにあります。僕がキャンプで大事にしている「ドキドキすることに一歩踏み出す」ことをPAでは「Cゾーン」「チャレンジバイチョイス」という言葉になっていて、改めてすごく大事なんだなと思えたんです。

PAでは考え続けることが大事だなと今、僕は思っています。哲学的な感覚だから答えはないので、常に考えなければいけないんだな、自分の中でアップデートしなければいけないな、生活の中でふと意識しなければけないんだなと思っています。自分が考え続けている途中なのだから、子どもたちにも偉そうには語れないですね(笑)。「いや〜難しいね」「わかんないよね〜」「迷っていることはマイナスじゃないと思うよ〜」という感じで話しかけています。

「型」にとらわれない

PAでは小中高大学生のプログラムが多いです。この6年間でファシリテーターとして一番迷ったり、成長したなと実感したり、意識しなければと考えているのは、「型にはめない」ということです。どこか型にはめたいと思ってしまっている自分がいます。型にはめて自分が思い描いた通りになったとき、彼らにとって一番いいものを持って帰ってもらうことができていなかったような気がして・・。

それよりも現場は大混乱で「ここは子どもたちのやりたい方にやってみるか」と思ってやったときに、意外と彼らが感動して帰ったということがありました。僕は後者の方がいいなと思います。僕も混乱してドキドキしたけど、その方がよかったなって思える瞬間です。型を準備していても、型にはめない自分も準備しておかなければと思います。いまそのことをとても大事にしています。

「型」というのは、ふりかえりの場合なら「こういうことを言って欲しいなぁ」などですね。プログラムの組み立てでは、教育プログラムなので目的やテーマに沿うのが大事ですが、目的を達成する過程で子どもたちにこう感じて欲しいというものをどこか準備をしているんです。その通りに行って欲しいと思いつつ、実は違う道もあるんだという風に最近思っています。

「この活動の設定はこのグループには難しいかな」と思っていたら、意外とささっとできたり、「これは簡単でしょう」と思ってやったのが全然簡単ではなかったりして焦ることもあります。型・想定・イメージが僕の持っているものと違うように展開をするのは大事なことだなと思っているんです。

想定外のことが起きたら・・ドキドキします。ドキドキにはポジティブなドキドキとネガティブなドキドキがあるなと思っていて、それが同居している感じがします。自分が予想だにしない展開や自分の想像以上の子どもたちの言葉に出会えるのは一番の喜びです。

子どもたちが全然笑ってもくれないし、ちょっと硬いグループだったとき、僕は彼らに流されていると思います。まずは僕の持っているキャラクターが少し緊張している子達に会ったときに、どれくらいの波紋になるかなと見ています。

僕という石を投げていきなりバシャーンとなったらイヤだろうなと思うので、ちっちゃい石から投げるように心がけています。そう見えないかもしれませんが、僕は意外とグループに流されていることを大切にしています。

非日常を体験する

ファシリテーターの立場だと、いじめられていそうな子たちに出会いやすいです。彼らは先生の前では表出しません。僕がいつも意識していることは、ファシリテーターというよりは1人の参加者みたいな形で中に入って、会話をしてみています。彼ら同士はもうつながれないんですよね。

文章に例えると、みんなの文と文の間に僕の文が入ることで文章全体が成立するようなことを意識しています。こういう経験があればお互いにちょっとずつ歩み寄れると信じています。難しいんですけどね。

プログラムをやっているともう少し時間が欲しいと思うことはあります。でも3時間なら3時間の中でいかに参加者の人に非日常になってもらうかなんです。それが3時間なら1回くらいかもしれないし、1日ならもう少し、2日間だったら2〜3回はあるかもしれません。

ごろっと視点が変わるような瞬間を何回作れるかですね。単に活動だけではなくて、僕に会ったことで、「あんな人がいるんだー」と思ってほしいです。プログラムが短ければなおさら、僕との会話一つひとつが重要になってくると思うので、そういう部分でどこか勝負を仕掛けていますね。

会話も大事なんです。PAプログラムでは毎回真剣勝負ですね。PAが終わるとずしっと疲れています。日頃、十数人の表情を同時に見ることはないから疲れるんだと思います。

10年後も幅広い対象に向けたファシリテーターでいたいです。ありがたいのは、昨日は幼稚園生、今日は50〜60代の人のプログラムをしたりと、いろいろな人に出会っています。

年を取っていけば年相応に年の近いの人のプログラムが増えていくと思うんですけど、40代になっても幼稚園生と今のように関わりたいです。アドベンチャーの原点はあの子たちに教えられている気がしています。

(20180502)

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