プログラムチームのアサイン・トレーニング担当のすずめ(杉村厚子)、「PAが好き」ということを大事にしている人です。そんなすずめにアサイン、トレーニングについて、PAを通して大切にしていることについて話を聞きました。


PAJに勤め始めて20年が経ちました。あっという間でした。現在はファシリテーターの他に、プログラムのアサイン(スタッフの配置)とスタッフトレーニングを担当しています。


ファシリテーターとの関わりーアサインの仕事

アサインは、プログラムコーディネーターからこれから行うプログラムのねらいやクライアントについて話を聞き、そこに合いそうなスタッフを配置する役割です。よい形でマッチングするために、ねらいの行間を詳しく読むことを大切にしています。

誰にどのプログラムに行ってもらうかを考えるときには、そのファシリテーターができるものだけでなく、ちょっとチャレンジが必要なプログラムや、今までにやったことのないプログラムに挑戦することでその人の可能性が広がる機会になることを考えています。

PAJでは全ての非常勤ファシリテーターに対して、年に一回のアニュアルインタビュー(個別に話す時間)を設けています。プログラムでの様子や評価などを伝える場です。その中でファシリテーターが思っていることを伝えてもらえる窓口にもなったらいいなと思います。

その時に思っていることを伝えてもらえるような存在になりたいです。いわれる側という側ではなく、お互いの声を聴き、学び合える関係になりたいです。そのために、しっかり話を聞くこと、その人がどんな人で何を大切にしているかということに興味を持って耳を傾けることを心がけています。また普段のコミュニケーションも大切だと感じています。

感覚を言語化するースタッフトレーニング

非常勤ファシリテーターになる手前の人へのスタッフトレーニングも担当しています。まずはプログラムの現場を見学し、その後、プログラムを部分的に担当していって、最終的には1つのグループを担当できるようになっていきます。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)でプログラムをやる中では、自分の中で気づき、次の準備をしていけるようなふりかえりが鍵になってきます。

また私自身の学びになっていることは、感覚的に思っていることや自分の中にあるものを言語化して伝えるということです。受け手にとって納得感のある学びになるために、どんな風に伝えればよいのかを考えることは私にとって難しくもあり、楽しくもあります。

「なんかゴロゴロする違和感」のような、説明できないけれど直感が訴えているものをどう表現すればいいのか、私が「いい!」と思うとき、その根拠はどこにあるか、他の人はどうなんだろう?などいろいろ考えます。

今は2人体制でスタッフトレーニングをしていて、2つの視点でOJTを実施しながら、スタッフになってもらう準備をしています。講習会で学べる知識もありますが、OJTで現場に立ってみて学べることは体験教育では本当に多いと思います。

PAという生き方

私自身はプロジェクトアドベンチャーの考え方が自分の生き方と繋がっているので、一人ひとりの生き方そういうことが感じられる場を参加者の皆さんと作れるファシリテーターになりたいと思います。

「面白いからPAのやり方を覚える」だけではなくて、「気づいたら自分の生き方みたいなことを考えるチャンスになるような場になっていた」という風になったらいいなと思います。

私自身の中ではプロジェクトアドベンチャーの考え方が自分の生き方と繋がっています。初めてPAのワークショップを受けたとき、なんかすごいなぁと思ったんです。活動の持つパワーがあり、ファシリテーターの佇まいもあったのかもしれません。あの心地よさはなんだったのだろうと今でも思います。

フルバリューが伝えられ、ここにいていいと言われているような居心地がよい場でした。私自身も参加者の皆さんがグループにいることの心地よさを感じたり、自分のことに没頭できる場を作れるファシリテーターになりたいと強く思いました。「面白いからPAのやり方を覚える」だけではなくて、「気づいたら自分の生き方を考えるチャンスになっていた」という風になったらいいなと思います。

PAと出会って私は「こうでなければならない」という枠から自分が楽になった、幸せになった、自由になったと感じています。フルバリューという考え方に出会って、私はないものより、あるものに焦点を当てるようになりました。「こんなにできない人なんだ」ではなくて、「できることもあるよね」と思えるようになりました。

できないことに目をつぶって避けているということではなくて、できることもできないこともあって、できることを大事にして、できないことを楽しむ感じです。できてもできなくても、私という人間は変わらない。変わらないというのは変化しないということではなくて、「できる・できない」ということで、私という人が脅かされないとわかっていることが大切なのです。

PAでは人ではなく「起きた出来事」に焦点を当てます。起きた出来事に焦点を当てると、自分と起きた出来事の間にワンクッションを置くことができます。それによって冷静に考えられたり、より良い方向を探すことができるようになります。

「あいつが悪い」というような言い方には感情が伴ってしまい、自分の存在が脅かされる感じがするうえに、起きた出来事をどうにかしようとはなりにくいなと思います。その人の行為は残念だったかもしれないけれど、その人そのものが残念なわけではないんです。出来事が当事者に届けられると、その人は気づいて変化することを身をもって体験しました。

そういうところはPAプログラムではよく考えられていて、私はその考え方に出会って救われました。だから今でもPAを信じているんです。PAの「フルバリュー(最大限にお互いを尊重するという約束)」という考え方を知って、フルバリューを実践したいと思って行動しています。まだできていないけれど、あきらめないで向き合っていきたいです。私はフルバリューを大切にしながら人と出会うことが好きなのです。

(20190308)
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