これまで「アドベンチャー」というものは、山や海などの自然の中で命がけで行うという捉え方が一般的でした。
そして多くの人が自分とは関係ないものとして見過ごしてきたのです。
ところが「アドベンチャー」には、人を育てるうえで大変な価値のある宝物であるということがわかってきました。

とりわけ人と人との関係で最も大切な「人を信頼するこころ」は、
アドベンチャーをベースとする環境では容易につくり出すことができます。



アドベンチャーには更に自己との対峙、葛藤、自分自身に対する挑戦、仲間との協力、
成功体験、達成感など人間の成長に生かすことができる性質がたくさんあります。
私たちはこうした環境を設定し、人が人間として成長するための「気づき」を効果的に体験するための手法も開発してまいりました。


PAは、人の器を大きくすることを目指し人の成長を目指すプログラムです。
人は様々な「気づき」を経て成長していきます。
人が成長するためには「信頼関係」がなにより大切で、信頼関係づくりはチームビルディングでもあります。

信頼関係は学習の環境としても最も大切なもので、
気持ちが閉じられたままでは、成長のための「気づき」は生まれません。
時には、自分の限界を超える挑戦をすることも成長のためには必要です。

そのような挑戦を支えてくれる仲間の存在であり、「気づき」を成長に導くのがPAプログラムです。




【フル バリュー コントラクト】Full Value Contract(FVC)
PAプログラムでは、プログラムを始める前に簡単な約束をしてもらいます。
これをフルバリューコントラクトといいます。
これは、お互いの努力を最大限に評価するという約束です。
つまり、「自分を含めたメンバーをけなしたり、軽んじたりしない」、
具体的には「お互いの心の安全と身体の安全を守る」、「自分に正直である」、「ネガティブなことにこだわらない」
などがあげられます。


【チャレンジ バイ チョイス】Challenge By Choice(CBC)

PAプログラムには強制はありません。
挑戦への選択の自由が常に保証されています。
個人の挑戦レベルとその方法は、自分自身が決定します。
また、自分が挑戦を選択しなかった場合でも、グループから外されるのではなく、
グループの仲間にどのような方法で協力できるのかを考えることも選択のひとつになります。


【体験学習サイクル】Experiential Learning Cycle
体験学習のサイクルは、David Kolbが提唱した理論を土台にしています。

①実際の体験
②ふりかえりを含む観察
③(抽象的な)概念化
④積極的な実験(適用)

という、プロセスをPAプログラムの学びの基本としています。
今の体験で、

「何が起こったのか?、何を感じたのか?」
「そこから何を学べるのか?」
「この体験を次にどう生かせるか?」

といったことについて、みんなで話し合う過程を通して、それぞれが体験の重要性に気づくだけでなく、実社会と関連付けることにより、体験から得られる学びはより深くなります。

【プロジェクトアドベンチャーの歴史】

プロジェクトアドベンチャーは、1971年にマサチューセッツ州にあるハミルトンーウェンハム高校の校長J.ペイ(Pieh, J.)を中心とするスタッフの手で設立された。
ペイの父親(B.ペイ、カナダ・トロントにあるクィーンズ・カレッジの名誉教授)は、アウトワード・バウンド・スクール(OBS)ミネソタ校の創設者である。
父親の影響を受けOBSにかかわってきたJ.ペイは、次第にOBSを学校教育の現場に活かせないだろうかと考えるようになった。

しかし、OBSのコースは厳しすぎるし、費用や時間の点からいっても青少年には参加しにくかった。
そこでJ.ペイはOBSの考え方を既存の学校制度に組み込むことができないかと考えたのである。

そして、この計画の名称を考えるにあたってアウトワード・バウンドという言葉には、自然の中に出かけていくというイメージが強いので、
この名称をそのまま使わずに
「人々に夢を与える限りない広がり」
というイメージから、アドベンチャーという名称を選んだ。
(「アドベンチャーグループカウンセリングの実践」みくに出版より抜粋)