ビジネススクールでの強烈なPA体験から20数年。2018年2月よりCFO(チーフファイナンシャルオフィサー)としてPAJにやって来たエディ(新岡達也)のインタビューの後編です。(前編はこちら)

偏りを強みに

前に働いていたIKEAでもそうですが、強烈な理念があると組織は働く人を選ぶんです。それはマイクロソフトでもでGoogleでも同じです。だから最初のスクリーニングがうまくいかないと入って最初の3ヶ月くらいで非常に多くの人が辞めていくんです。

PAJは文化的に非常に偏っています。組織はそれぞれに文化的に偏っているものなので、PAJに偏りがあるというのは悪い意味ではなくて、特色が明瞭にあるということですね。その文化の偏りをもっと極めていくことが理念を達成することに重要なんです。

我々の場合はアドベンチャー教育の未来を信じていて、それが起こす内面的変化を非常にポジティブに捉えていて、これをやればみんなが変わり得るんだっていうことをどれくらい信じられるかどうかがポイントになってきます。例えば理念がかなり偏っている場合、その理念にマッチした人を選ぶと思うんですよね。それが会社としての強みになるんです。

自分たちの理念やビジョンに賛同してないと働いていて辛くなるでしょうね。一番賛同していてほしいことは、アドベンチャー教育の未来だと思うんです。「これほどインパクトのあるものは他にはなかなかない」というところに共感して、自分をさらけ出すことに対する恐怖心を克服していかないとなかなかやっていけないと思います。

PAJに入ったあと、「おまえはもっと大きいことやった方がいいんじゃないか」と周りからよく言われました。社会的なインパクトという意味では短期的には確かにおっしゃる通りで、でかい事業でガリガリゴリゴリやった方がテコはきくから、より大きな変化を世の中に生み出すことはできます。

でもPAJがやってることは人間の内面性に強いインパクトを与えるんです。そこにはいろんな波状効果が広がっていく側面があります。ただし時間がかかるんですよね。

CFOの仕事

チーフファイナンシャルオフィサー(CFO)とは、金回りの責任者ですね。金回りというのは出るのも入るのも含めてです。成長、ビジョンを実現するにあたって、全てにお金と人はかかってきます。人も結局、お金があれば調達できるのでそのボトルネックを解消していきます。

そのためにはちゃんとした事業計画や戦略を作らなくてはいけないし、いかにこの市場が有望であるかということを投資家に対して説得していく作業も必要です。そのためには今まで社内であまり手をつけてこなかったところに手をつけていかなければいけないと考えています。

僕が新しい会社に入ってきたときに大切にしていることは、リスナーでいることです。こちらが最初に思った仮説を言うのではなく、最初にちゃんと話を聞くことを心がけています。先入観なく話を聞こうと思い、PAJに来て早々にも社内のインタビューをさせてもらいました。

これから改訂したビジョンを掲げて、間違いなく業界のリーダーにならないといけない。業界のリーダーになって市場全体を品質面で底上げをしていきます。クオリティーを上げて信頼性を上げてお客さんがPAを信じてやってもらいたいというものに答えるだけのキャパシティがないといけない。そこで大きな変化が強いられると思います。業界としてクオリティを上げるというところで、そこはPAJが果たす役割は大きいです。

もともとはビジネスではなく世界平和に興味がありました。1989年アフガン侵攻を見て、国防意識に目覚めて世界平和のために戦っていたんです。その後、最初にアメリカに留学していた1989年にベルリンの壁が崩壊しました。現代研究をしていたつもりの博士号候補者の学生の論文が冷戦崩壊とともに前提が崩れてしまったため「歴史論文」と化してしまい、自分の周りも騒然となりました。それが大きなきっかけとなりビジネスの世界で生きていこうと思ったんです。

外面的な平和に対して、PAが目指すものは内面的な「心の平和」みたいなものだと考えています。人間としての器を大きくしていって、今まで理解できなかった人を理解できるようになり、許せなかった人を許せるようになるという、人間の内面における一種の革命を起こすと言ったら大げさかもしれませんが、そんな事業がPAだと感じています。

(20180402)
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