ファシリテーターインタビューvol. 016 「子どもたちのちからを信じて」

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PAJ非常勤ファシリテーターのさとじゅん(佐藤順子)。近年は特別支援学級や貧困で困っている地域のサポート、多文化共生などさまざまな分野のグループにPAプログラムを提供しています。少年院の教官を経てファシリテーターになったさとじゅんに子どもたちの成長や自身の変化について話を聞きました。

大切にしていること

ファシリテーターを始めて11年目になりました。少年院の教官時代にもPAのような活動を取り入れていてそれが私のベースになっているので、11年プラスαですね。

活動の中ではプラスもマイナスも受け入れやすい環境をつくるという意味で「FUN」と「感情」を大切にしています。出てこない感情や出したくない感情があっても、「今、そういう感情あるよね、持っていていいんだよ」ということを伝えています。それは空気感として伝える場合も、言葉で伝える場合もあります。ときにはトントンとノックして「オッケー(大丈夫)?」と聞く場合もあります。

体験による変化

少年院などでもPAを使って身体接触したり、言葉で関わっていくと大きな変化があります。例えば薬物依存の子は自分が依存しているという自覚がないんです。大体、男の人と共依存していて、「私と彼は助け合っていた、薬物でつながっていた」と思っています。でもPAをやることで仲間に支えてもらって、支え合いと依存の違いがわかるんです。それはいくら言葉で言っても絶対伝わらない。でも実際にPAの活動の中で、「大丈夫!こっちにおいでよ、支えてあげる」と言われ、支えられたという身体感覚の経験から「これが支え合い?じゃあ私と彼の関係はもしかして依存?」という新しい思考に入っていきます。PAを凄いなと思ったのはそこなんです。

子どものちから

子どもはこちらが手放したり、信じてあげると力を発揮するなということを感じます。3時間のプログラムでも、45分でも変わることもあります。子どもたちは好きにやっていいよと言われながら、実はやることが決まっていて、学校や家庭で任されてないのかもしれません。プログラムでも決められていることはありますが、自分たちで考えてやってみることや、選ぶ・決めるということを大切にしています。

中には自分たちで選んでやることに不安になる子もいます。そういう子はこれから自分で体験をしていけばいいんです。そこにはFUNの存在が大きくて、楽しいから自分で決めることができるし、「やりたい」と言うことができます。最近は失敗が嫌だからやらないという選択する子もいます。

周りの仲間が救ってくれることもあるし、頑としてやらない子もいます。迷うのもいい経験なんです。やらなかったという選択をして終わったときに、「どうしてそういう選択したんだろう」と考えてくれればそれもいいチャンスになるのです。

ファシリテーターとしての変化

ファシリテーターを始めた頃は「君たちが社会を支えるんだ」というような思いがすごく強かったですね。でもそれがなくなったら私自身がすごく楽になりました。その影響なのか子どもたちも活動しているときにいい動きをしてくれるようになりました。

変わったきっかけは、「あまり人の思いを載せられると重たいんだよね」とフィードバックされたことにあります。私も誰かの思いを受けて重たいなと感じることがあって、私も同じことやっていると気づいてそれを手放したら楽になったんです。それまではメッセージがくどかったり、プログラムの最後をまとめようとしていましたが、今は子どもたちに任せられるようになりました。

ファシリテーターとしてチャレンジしていることは「質問・問い」です。ふりかえりのときにどういう問いだったらより気づきを促せるかなと考えています。チームによってはみんなの前で意見を言いにくい段階だったりするので、意見の出し方、アウトプットの仕方を考えたりもします。

PAを「イベント」で終わらせないようにしたいですね。気づきをどう日常に持っていくか、体験学習につなげていくかの問いやアウトプットの仕方を考えていきたいですね。

この11年プラスαの中で自分自身の成長は、寛容になったことかもしれません。前は「こうするべき」という自分の価値観がありました。今は「それもあり」と思うようになりました。それはあきらめや妥協ではなくて、「そういうこともあるよね、今はそういう時期かも」と思えるという意味での寛容さです。

寛容になれないときもありますが、だいぶ範囲は広くなった気がします。周りのファシリテーター仲間だったり、いろいろな人に出会うことによって、考え方やあり方の多様さを学びました。そこには国籍や障害の有る無し、生活環境も含まれます。

これからやっていきたいことは困ってるところを助けたいですね。力がある人は自分でアドベンチャーができるし、そのチャンスが巡ってきます。でも貧困や障害などでやりたくてもできない人たち、能力はあるけれど環境が整っていないというところにもチャンスがあってもいいのではないかと思っています。障害があるから、貧困だからPAができないという環境にいる子どもたちにチャンスを作れる存在になりたいです。

(20180320)