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VOL.04

アドベンチャーを通した気づきを組織に活かす

PAの1日プログラムを受講してくださった、パナソニックライフソリューションズ創研株式会社の荒川誠さん(写真左から2番目)と村上淳さん(写真右から2番目)に、PA(プロジェクトアドベンチャー)体験での気づきや学びについてお話を伺いました。(写真の左右は、プロジェクトアドベンチャージャパンコーディネーターの池田佳奈子、青木望)

PA体験

PA体験はいかがでしたか?

村上様(以下敬称略):翌々日、体が痛かったです(笑)。普段体を使うことがないので、身体性というのはこういうことかと思いました。PAワークショップに行った翌朝、社内で荒川に会ったときに、「チームビルディングや新入社員研修でいいのない?」ときかれたので、「いいも何も、これしかない!」と早速勧めました。

PA体験のどこがよかったのですか?

村上 :気持ちよく遊んで学べたなという感じです。久しぶりの感覚が体に残っていました。

荒川様(以下敬称略):ある新入社員研修で一体感をつくりたいという要望があり、私はできれば横のつながりだけではなく、経営者も含めて何かできないか、会議室のような場所ではなく、縦横関係なくできるプログラムはないかと探していたので体験会に参加しました。

高いところでの経験

印象的な場面はどこですか?

荒川:「てつなぎトラバース(高さ8mのワイヤーロープの上をパートナーと手をつないで進んでいく挑戦)」ですね。私は高所恐怖症なので、みんなの足を引っ張らないか心配でした。高いところに行く前に、いろいろな体験を地上で一緒にして、信頼関係があったうえでやったからこそできたということを感じました。

荒川:高い所ではパートナーが頼もしくて惚れ惚れしました。パートナーにリードしてもらいながら動く中で、彼女と私の役割がなんとなくわかってきて、一緒に進んでいくことができました。

他のペアを見ていても思いましたが、やりとりをしながら、それぞれの役割や関係性が自然にできていました。ああいう場に置かれるとそれぞれの強みなどが現れてきて、お互いをカバーしながら挑戦することができますね。

下でロープを握っているメンバーはどうでしたか?

荒川:自分の体を扱うので精一杯で、下からのフォローは最初はわからなかったんです。パートナーにリードしてもらいながら歩いていったら、少しずつ周りの声がきこえるようになってきました。

最初は本当に余裕がなくて落ちそうになったりしたのですが、「ここで落ちたらかっこ悪いな」「みんなにも迷惑かけるな」と思って踏ん張れたのは確かです。そういうことはなかなか経験できないものかもしれません。ハイエレメントの印象が一番強いですが、そこに至るまでのお互いのことを知り合うグループの体験(ローエレメント)があったからこそのハイエレメントでした。

村上 :私はハイエレメントでは「Jタワー」に挑戦しました。ホールドが緩んでいて踏ん張りがきかなくて、足が滑ってしまい途中で降参してしまいましたが、最後はネットに飛びついて降りてきました。私は高いところに登るチャレンジよりも、下でロープを持つビレイヤーをしたときの方が気づきが大きかったです。普段しないような声掛けをしたり、委ねてもらうという貴重な体験ができました。

信頼関係を醸成する

ハイエレメントに至るまでのグループはどのようなものでしたか?

村上 :私は高いところが苦手ではないからか、ハイエレメントよりもローエレメントなどの地面での活動の方が印象に残っています。

「パイプライン」(雨どいのようなものでビー玉を運ぶ活動)では、みんなでいろいろな知恵を出し合ってやりました。やっていくと分業したり声を掛け合ったりすることで、自ずとパターンのようなものが出来てきて、どんどんうまくなっていきました。自分たちで目標設定することで、皆が主体性を発揮し、皆がリーダーになっていました。成功したときはとても嬉しかったです。

また「ニトロクロッシング」(ロープを使って全員が小さなスペースに渡る活動)では、絶対に達成は無理だと思っていました。狭い場所に次から次へと人が乗ってきて大変だったのですが、みんなで支え合って、全員が小さな島に乗ることができました。午後からハイエレメントをしましたが、グループに通じ合うものが出来上がっていたからこそ、ハイエレメントに挑戦できたという感じです。

荒川:ローエレメントでは、体験から得た気づきを共有する機会があり、その気づきをすぐに実践に移していくので、どんどん会話の質があがっていくのを感じました。それは私だけではなく、みなさんも感じていたのではと思います。一日という時間があったのも大きいと思います。

職場に持ち帰る

PAで得たさまざまな気づきや学びを職場でも生かすことことについてはいかがですか?

荒川:研修後に職場環境に帰ると、元に戻ってしまうことはあるかもしれません。会社は経営者自身がビジョンを立てたり、ありたい姿を具体的にイメージできているかいないかが大切だと思っています。経営者が研修の場に一緒にいて、そこで感じたことをもとに、どのような環境にするかが大切だと思います。経営者のひとつの発言でたぶん全然違うと思うんです。研修を通して経営者が変わると、下の人間も少しずつ変わっていくので、そのきっかけづくりをしたいですね。

研修は気づきがあってなんぼだと思うので、自然の中でいつもと全く違う環境でやるのは、普段の生活にいるのとは違うインパクトがあります。PAをして職場に戻ったときに、10人か100人のうちの1人の行動がそこで変わって、その人がもっとこうしていこうよとなって、少しずつ変わっていくものなんだと思います。

「個」と「還る」

PA体験をひと言で表すと何ですか?

荒川:「自然」と「個」ですね。自然の中でやる意味は大きいと思います。また、いくらチームを育てようとしても、個人が整っていないと、いずれか破綻してしまいます。研修では「チーム」の大切さを学ぶことがあるのですが、その前にひとりの人間としてちゃんと整っているかが大切で、日頃からの個としての鍛錬が重要だと改めて感じました。

PAではファシリテーターが「個として発信する」ことを促していたと思います。結果、それぞれがチームに情報を出していくということがなされていました。

村上 :私は一日の体験を思い起こすと、「還る」という言葉が浮かびました。いろいろな意味で還ってきた感じがしました。あとは「緑」です。緑の効用は大きいですね。緑が心に影響を及ぼすから還りやすいんだと思います。「子どもの頃こんな風に遊んでいたな」と思いながら登ったり、飛んだり、走ったりしました。

プログラムの中では、初めて会った人たちが知恵を出し合って、それぞれの持ち味を自分で発揮してといくことを考えながら、自分で自分の役割を決めます。

一方、会社では役割は与えられているものです。いろいろな適性や期待をベースに役割が与えられますが、PAの場では自分で自分の役割をつくっていかないと進まないし、チームとしての目的が達成できません。本来、組織づくりというのはそういうものなのではないかと思います。

見せていなかった自分の強みが出て来るのを促されている感じがしました。いろいろ意見を出し合って、仮決定してやってみる。うまく行かなかったらまた考えて修正する。まさにビジネスですよね。ビジネスというより、そういうのが人間の営みだと思うんです。

小さい頃、そういうことが日常で起こっていたんだと思います。それがいま非日常になっているとしたら、PAのあの場は「還る」ところなんだと思います。